もうすぐ夏休みですね。
長いお休みを前にウキウキする子どもたちとは対照的に、毎日の食事の準備や子どもたちの宿題のことを考え気が重いママやパパも多いのではないでしょか?
悲しいことに、子どもを狙った性犯罪は季節を問わず発生していますが、夏休みは特に増加しやすい時期であることが、統計や専門家の指摘からわかっています。
今回は、夏休みに子どもを狙った性犯罪が増える理由とともに、防犯対策や、万が一被害にあった時の対応方法をお伝えします。
夏休みに子どもを狙う性犯罪が増える理由
「夏に子どもを狙った性犯罪が増える」ということを示す、はっきりとした公的データは、現時点では見つかっていません。
ですが、専門家や警察などは、「夏休みは子どもが性犯罪の被害にあいやすくなる」と注意を呼びかけています。
これは統計に基づくものではなく、実際の生活の中で起きてきた事例や、現場での経験から導かれた考え方です。
ではなぜ、夏休みになると子どもが狙われやすくなるのか。
その理由をくわしく解説していきます。
子どもの行動範囲が広がる
学校が休みになり、子どもが一人で外出する機会や、親の目が届きにくい時間が増えることで、犯罪に巻き込まれるリスクが高まります。
薄着や水遊びによる露出の増加
夏は薄着になることに加え、プールや海、噴水などで水遊びをする機会が増えます。
子どもが無防備になりやすいタイミングを狙って、盗撮や身体接触などの性犯罪が発生しやすくなります。

不特定多数が集まるイベントが増える
夏は花火大会や夏祭り、キャンプなど人が多く集まるイベントが多く開催されます。
こうした場所では、親が子どもから目を離しやすく、人混みに紛れて犯罪が起こる可能性が高くなります。

夜間の外出が増える
日が長くなり、夜遅くまで外出する機会が増えることで、不審者による声かけやつきまとい、連れ去りなどの被害が懸念されます。
インターネットやSNSに触れる時間が増える
最近はインターネットやSNSを通じた性被害が増加しています。
夏休みになりインターネットやSNSに触れる時間が長くなることで、見知らぬ人と連絡を取ったり、個人情報を安易に教えてしまうなどのリスクが高まります。
SNSやオンラインゲームで知り合った相手から、性的な画像の送信を求められたり、脅されたりと、外出しなくても性被害に遭う可能性は十分にあります。

子どもを守るための防犯対策
子どもたちが自分で身を守れるように、夏休み前に伝えておきたい防犯のポイントをお伝えします。
身を守る合言葉「いかのおすし」を覚えよう
「いかのおすし」は、警視庁が定めた防犯標語で、子どもの防犯対策の基本となる言葉です。

人について「いか」ない
人の車に「の」らない
連れて行かれそうになったら「お」おごえで叫ぶ
危険や違和感を感じたら「す」ぐ逃げる
些細なことでも親に「し」らせる
身を守るための合言葉「いかのおすし」を、子どもが納得して理解できるまで、繰り返し伝えましょう。
子どもが性被害にあった場合、加害者の約8〜9割は顔見知りや身近な人であることがわかっています。
知っている人であっても約束していない相手には、「ついていかない」「車にのらない」ことをあわせて伝えることも大切です。
防犯ブザーを持たせる
外出時には子どもに防犯ブザーを必ず持たせ、使い方を親子で確認しておきましょう。
いざという時に、すぐに取り出せない、鳴らし方がわからない、電池が切れていたということも少なくありません。
家で防犯ブザーを鳴らす練習をしたり、電池切れや故障がないかのチェックをしておくことも重要です。
防犯ブザー以外にも、見守り用のGPS端末やキッズケータイなどさまざまな防犯グッズがあります。
学校や習い事、友達との外出だけでなく、家族と出かけるときにも防犯グッズを持っておくと安心です。

一人での行動を避ける
外へ遊びに行くときは、保護者が付き添うことが望ましいですが、小学校3・4年生になると友達同士で遊びに行きたがることも増えると思います。
その際は、「誰と」「どこで」「何時まで」いるのかを必ず確認し、保護者同士でも共有できると良いでしょう。
子どもを狙う犯罪者は子どもが一人になるタイミングを狙っています。外では必ず複数人で行動し、トイレなどに行く時にも一人では行かないよう伝えましょう。
露出の少ない服装を心がける
不審者や変質者に狙われにくくするには、服装に気をつけることも大切です。
流行やおしゃれを楽しみたい年ごろかもしれませんが、子どもだけで外出する日は、服装にも気を配って送り出しましょう。
✔ 過度に可愛らしい服装や露出は避ける
✔ スカートの下にはスパッツをはく
✔ 肌着を着る など
女の子だけでなく、男の子も同様に気をつけましょう。
夏は、公園やプールなどで水遊びをする機会が増える季節です。
その際、「水着を持っていないからパンツ1枚で遊ばせる」「まだ小さいからとその場で裸にして着替えさせる」
そんな光景を見かけることも少なくありません。
しかし、こうした場面は盗撮や身体への接触など、性犯罪が起こりやすい状況でもあります。
性被害に、年齢や性別は関係ありません。
幼い子や男の子を狙う犯罪者もいることを忘れないでください。
どんな場面でも、子どもの服装や着替えには十分に注意を払いましょう。
「ちょっとおかしい」を敏感に察知する
子どもを狙う犯罪者には特有の行動パターンがあります。
・離れた場所からじっと見ている
・ウロウロしている
・何かと話しかけてくる
・理由なく近づいてくる
・後をついてくる
・同じ場所で待っている など
少しでも「あの人ちょっと変だな」と感じたら、その場を離れ、大人のいる安全な場所に避難するよう伝えましょう。
留守番をする時のルールを決める
夏休みは、子どもが一人で留守番をする機会が増える家庭も多いのではないでしょうか。
実は、そんな子どもを狙った事件も起きているのが現実です。
子どもを守るために、留守番をするときの「約束事」をしっかり決めておくことが大切です。
出入り口のカギはすべて施錠する
夏は窓を開け放していることもよくありますが、子どもだけで留守番をする時には、ドアも窓もすべて施錠しカギを開けないようにしましょう。
インターフォンが鳴っても出ない
子どもだけで留守番をしているときは、インターフォンが鳴っても絶対に出ないことを、あらかじめ約束しておきましょう。
たとえ見覚えのある宅配業者や、近所の人であっても、応対する必要はありません。
不安な場合は、インターフォンの呼び出し音をオフにしておくのも一つの方法です。
音が鳴らないだけでも、子どもが落ち着いて過ごしやすくなります。
家族以外からの電話には出ない
家に固定電話がある場合は、ナンバーディスプレイ機能を使いましょう。
家族以外の番号からの着信には、子どもが出ないようにあらかじめ伝えておくことが大切です。
また、電話機によっては「居留守モード」などの便利な機能がある場合もあります。
設定しておくと、より安心です。
留守番中に、友達から急に「遊ぼう」と誘われることもあるかもしれません。
そんなときどうするのか
● きっぱり断るのか
● 親に連絡・報告をしたうえで、戸締まりをして出かけてもいいのか
あらかじめ家族でルールを決めておくことが大切です。
防犯対策について繰り返し確認する
夏休み前やお出かけの前には、防犯について親子で話し合う時間をつくりましょう。
子ども自身が納得して、きちんと理解できることが大切です。
また、年齢や生活スタイルに合わせて、「どうやって身を守るか」について一緒にルールを考えることも、理解を深める良いきっかけになります。
万が一、被害にあった時の対応方法
どんなに気をつけていても、被害にあうことがあります。
悪いのは100%加害者です。
被害にあったとき、近くにいる信頼できる人の対応が、子どもの心を癒やす力にもなれば、反対にトラウマを悪化させてしまう原因になることもあります。
万が一、被害にあった際の対応方法について解説します。
①子どもの安全を最優先
【親が近くにいる場合】
まずはその場を離れ、自宅や知人宅、公共施設など、安心できる場所に避難しましょう。
周囲に助けを求めることも大切です。
【親が近くにいない場合】
親が来るまで、安全な場所で落ち着いて待つように伝えてください。
可能であれば、近くの大人に付き添ってもらうと、より安心です。
②子どもの話を否定せずに聞く
子どもには「あなたのせいじゃないよ」と伝え、責めたり問い詰めたりせず、共感の気持ちをもって話を聞くことが大切です。
できない約束や、「どうして?」「なぜ?」など子どもを責めるように聞こえる言葉は避けましょう。
また、専門家ではない大人が何度も話を聞くと、子どもの記憶に影響を与えてしまう可能性があります。話は一度だけにとどめ、根ほり葉ほり聞かないようにしましょう。
③証拠保全に配慮
性別を問わず、性暴力の証拠を採取するためにも、できるだけ着替えや入浴を控え、早めに専門機関や医療機関に連絡をしましょう。
妊娠の可能性がある場合、被害から72時間以内に緊急避妊薬を服用することで、高い確率で望まない妊娠を防ぐことができます。
④早期に専門機関へ相談・連絡
できるだけ早く、ワンストップ支援センターや警察、児童相談所などの専門機関に連絡し、医療・心理・法的支援を受けましょう。
⑤子どもの心のケア
性被害は心身に大きな影響を及ぼします。カウンセリングなど専門家のサポートを受けることが重要です。
相談窓口
性被害にあった時は、できるだけ早く専門機関に連絡をしましょう。
ワンストップ支援センターや警察の相談窓口は、24時間365日対応しています。
#8891
全国共通ダイヤルで、最寄りのワンストップ支援センターにつながります。【24時間対応】
医療支援(診療・証拠採取・緊急避妊薬の処方)、カウンセリング、法律相談などを一括して受けられます。
#8103
最寄りの警察の性犯罪被害相談電話窓口につながります。【24時間対応】
0120−189−783
最寄りの児童相談所の相談窓口につながります。
まとめ
子どもを狙った性犯罪は、一年を通して発生していますが、特に夏休みは発生件数が増えるといわれています。
海やプール、ショッピングセンターなど、人が多く集まる場所には、子どもを狙う犯罪者が潜んでいることもあります。
「どんなときに危険があるのか」「どうすれば身を守れるのか」を、子どもと一緒に繰り返し確認しておくことが大切です。
しっかり備えながら、安心して楽しい夏休みを過ごしましょう!